GPZ900R A11 エンジンメンテナンスの巻き。

本日モリヤマです。

今回は、国内忍者A11殿のGPZ900Rでござる。

このごろ長年の無理がたたり・・・・心の臓が少々つらく・・・異音発生しておるではないか!

直ぐに、まち医者に診せねばならぬ。おぬし早よ戸板持ってこぬか!

ようやくブログアップです。いろいろ追加事項があり遅くなりましたが、これで完治です!!


症状は、現在38000km走行しており、あちらこちらからの異音修理です。

忍者は、さすがに38000km走行だと何かしら音は出てきます。これを放っておくと大変な事に

なります。・・・今までに無い音がしたら赤信号です。すみやかに点検しましよう。

よく言われるのが、カワサキ車だから音はこんなものです。とか、この音はみんなしてますよ。

・・だから良し・・・・そんなことはありません。カワサキだってちやんとメンテナンスしていれば異音

は、しません。・・・・静かなホンダよりは少し音がありますが。メカノイズであり異音ではないです。

カワサキは、音の質で問題ありなしが判断できます。

設計が問題なければちやんと直ります。問題あれば直りません。生産工程での精度不良等であれば

返品交換してもらえばいいのです。

それでもだめな部分は・・・拙者が対策するしかないでござる


普段からできる一番の薬は、そのエンジンに合った一番高いオイルで早めに交換することです。

まじめに作ったオイルほど生産コストがかかり高いですが、絶対に性能はいいです。

まじめに作った!それが重要。そして儲け主義でないことです。・・これを一番高いオイルと呼びます。

ふまじめに作った儲け主義!・・・高い安い関係なく、これを一番安いオイルとよびます。

今までエンジンオーバーホールしてきて言えるのは、エンジンに合った一番高いオイルで早めに

交換してきたエンジンが、最も状態がいいです。   鉱物より化学合成・・・よりエステール・・


乗り方は、楽しみ方なので二の次です。飛ばす人にのんびり走れ。とか、のんびりの人に飛ばして

走れ。とか・・・・危険だしおもしろくない・・・・だから乗り方は絶対ベストにはできない。・・・でも

GPZ900Rは、のんびり走りすぎるとエンジにダメージが有ります。飛ばしたほうが調子いい!

当然、乱暴な乗り方はだめです。各部いたわりながら飛ばすのです。


形あるもの、いつか壊れる。ですが手入れすれば長くもちます。・・・当然お金は掛かりますけど。




それでは、GPZ900Rエンジン異音メンテナンスのはじまりです。
異音の場所はヘッド付近、エンジン左側面、エンジン右下側付近からでした。
いろんな所からいろんな音がしています。マフラーもうるさいので大変です。
ボーボー、ガシャガシャ、 コンコンカンカン、 チキチキ、 チェケラッチョ・・・こんな音です。
マフラー、カムチェーン、ジェネレータチェーン、カムシャフト、その他色々・・・こんな所です。

GPZ900R A11国内仕様、エンジン異音修理車両!きれいな忍者です。
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今回交換する部品達です。・・・これで終われば安かったのですが・・・・
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がーん!・・・・やはり、カムシャフト&ロッカーアームは、ご臨終でした。
追加注文でヨーロッパ・フルパワーカムシャフト&対策ロッカーアームでござります!
部品代は高くなりましたが、得られるものも大きいので・・・有りでしょう。
本当はバルブスプリングも交換したいのですが、次回のエンジンフルオーバーホールで、
交換する事になりました。・・・やっぱり新品は気持ちいいですねー。
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拙者、新品のカムシャフトをそのまま組み付けせぬ。ただの組み付けでは芸がない!!
モリワキ式組み付け手法!名付けて、モリヤマ式組み付け手法でござる。・・・これで、
なじみ性&耐久性アップ!ロッカーアーム8個も全て加工します。・・・なにげに大変です。
左が加工済み、右が加工前・・・新車からやればすごくよいのですがそれは無理ですね・・もう
忍者の新車が無い!残念。
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先に、ジェネレータチェーン系、各パーツ交換します。当然の事ながら各部点検もバッチリです。
すぐ後ろのクラッチも確認。クラッチハウジングとバランサーからのわずかな異音はそのまま
で、次回オーバーホール時に交換します。バランサーのギアバックラッシュの調整はしました。
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いよいよヘッド廻りです。ヘッドカバーをはぐると・・・やはり
INカムシャフト&ロッカーアームご臨終の図でござる。・・・10台中9台は、悲しきでござる。
拙者、そのうち対策考えます。
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EXカムシャフト&ロッカーアームご臨終でござった。・・・10台中6台ご臨終である。
遅かれ早かれ、結局交換の道をあゆむのであれば、こうなった方が諦めがつく。
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その次は・・これ、カムチェーンでござり・・・・これまた最低でござった。
エンジン調子いい。エンジン調子わるい。・・・これは簡単で誰でもわかります。
しかし、調子良いけど、中は悪いという問題は,気付きにくいので突然のエンジンブロー
となります。これがまさしくそれとなります。

指でチェーンを押します。テンションがOKならたるみは小さいはず・・・やばい、かなり移動します。
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指を離すと、ここまで戻る。・・・・最悪のゆるゆるです。・・・・これもまたご臨終。
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ゆるゆるを、まともに張れない純正ラチェット式テンショナー・・これはご臨終ではなく死刑です。
今回は、モリヤマエンジニアリングパーツのマニュアルカムチェーンテンショナーで対策します。
これで完璧となります。 音の問題よりもエンジンブローの回避です。 参考までにGPZ900Rで、
エンジンかけはじめ異音があるが、エンジンあたたまると音が消える・・・これはドラマの始まりです。
あたたまっても音が消えないなら・・・・ドラマ終わり、直ぐに点検&オーバーホールしましょう。
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ゆるゆるで回っていたカムチェーンは、のびのびと育ち
通常より早く伸びてしまいます。・・・・バカテンショナーのせいです。
図はクランクのローターです。1番と4番シリンダーのピストンが上死点にある位置です。
Tマークはトップを意味してます。この時カムの位置を見ると・・・・・
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まず、EX側・・・・カムチェーンが伸びた分だけ遅いバルブタイミングになってます。
ヘッド面にEXのーマークが並ぶはずなのに・・・・・かなりずれてます。
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IN側はさらに、遅れる方にずれてヘッド面に見えない・・・・沈む夕日どころではござらん!
ここまでずれてしまい、しかもゆるゆるチェーンでパワーダウンあたりまえ。それどころか
ブチ回すライダーだとチェーン二重噛みによりチェーン切れで確実にエンジンブローです。
全開時のブローエンジンは、鉄くずにもならないほど激しく壊れます。・・・
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分解前にバルブクリアランスの測定をします。
1番シリンダーのIN側1番バルブクリアランス狭すぎの0.07mm
2番シリンダーのIN側1番バルブクリアランス狭いの0.11mm
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そして交換する部品を外します。これが実作業となります・・・これが一般的な工賃ですが
この時間よりもその前の点検測定、確認の方が時間が掛かるのはあまり知られてません、
さらにパーツの洗浄、ガスケットはがしも同じで・・・・古いエンジンほど大変です。
メーカー工賃は新車で分解、組み立てし、ガスケットはがしも簡単での工数・・適当すぎで
ありえません。ろくな仕事はできません。時間で計算ですが内容も見てもらいたいものですね。
ちなみにカム交換メーカー工数2.5時間です。やりたくないです。・・・何も出来ないから。
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分解したカム廻りです。この後、再使用部品の測定作業をして・・・その後、交換する、
新品部品の確認、測定して・・・・だめなものは返品して。・・・洗って磨いて脱脂して削って・・
本当にばらして組むだけの作業だと早いし安いです。・・・・でもいいものには絶対ならない。
こんなに苦労して同じじゃーうかばれぬぞ。おい!エンジン!聞いておるのか
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組み立てです。ロッカーアーム、カム、その他です。
図はカムをのせて・・・・・・カムジャーナルのすき間の確認測定でござる。
プラスチゲージを乗せて・・よく見るとわかります。この上にキヤップホルダーを
乗せ、規定トルクで締めて又外す。・・・つぶれた幅ですき間の大きさがわかる。
広くても狭くてもだめです。忍者は0.78mmから0.121mmですが・・・・
いろいろありましてなかなかどうして、この幅は何?性能だけではない幅でござる。
この先は・・・企業秘密でないしょでござる。
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カムジャーナルのキズ・・・小     今回の忍者はダメージがあるなー。
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カムジャーナルのキズ・・・中     ボトルキープ安物オイルは全くもってだめですな。・・・
                       安いオイルで早めに変えて・・・死語です。
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カムジャーナルのキズ・・・大     やはりオイル管理ですな。一番の薬、一番高いオイル!
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カムジャーナルのキヤップホルダーをトルクレンチでしめて・・・・またはずして・・・
1ヶ所4回で10ヶ所あるので計40回測定します。今回はやばいのでこうなりました。
あまりひどい時は、ヘッド交換します。・・・・今回はいかに?
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つぶれた幅ですき間確認測定でござる・・・結果、ヘッドは交換しません。
A11さんよかったですね。これからは、一番オイル使って早めに変えてください。
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新品のカム山でござる。きれいです。・・・・いついつまでも
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新兵器でマニア・カムテンと申しやんす。よろしくお願い申し上げます!
これは使える。
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気になるバルタイは、まずEX側です。面に合いました。これが正しい位置。
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IN側です。OK!面に合いました。  これでパワーも出て、かつ壊れないです。
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エンジンメンテナンス完了です。部分修理なのでフルオーバーホールのようにはいきませんが、
何もせずでは、全開では乗れません。・・・のんびりでも全快で走れません。
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最後に交換部品並べてみました。
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この後、この忍者はキャブレターセッティング・・・その前に燃料系のメンテナンスですが
今まで特に大きなメンテナンスしていない車両はいつか絶対にまとめてメンテナンスと
なります。縁の下の力持ち・・・・たまには、おいしいごはん食べさせてください。



やべー・・・また朝です。それではみなさんさようなら。
by moriyamaeg | 2010-03-08 05:58 | エンジン編

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